ACHIEVEMENTS

瑞富株式会社

沖縄県那覇市久茂地に2017年5月に創業した「瑞富株式会社」は、和牛など日本各地で生産される生鮮食品を、中国・東南アジア・北米に輸出しています。また、食品の加工・販売にも力を入れており、現在、うるま市の中城湾港新港地区工業団地内に加工・梱包工場を建設中。今回は高橋 勇治常務取締役に、幅広く事業展開する同社が沖縄で起業した理由、現在の事業内容や沖縄の持つポテンシャル、今後の事業の展望などについて伺いました。(2018年8月)

アジア・日本本土へのアクセスが非常によく、那覇空港国際物流ハブや工場誘致などの優遇措置も食品輸出・加工業者にとっては魅力。沖縄でとれる生鮮食品のポテンシャルも十分にある

御社が沖縄で起業した経緯をお聞かせください。

弊社代表の市川は、もともと東京の食品輸出会社に勤務していたのですが、当時の販売先に台湾や中国のバイヤーがいました。その方たちから日本に会社を作りたいというお話があったのですが、そのタイミングで弊社の市川も独立起業することになりまして。それなら一緒に会社を設立しようということになり、中国のバイヤーの方に一部出資してもらって起業に至ったというのが大まかな流れです。現在は、代表の市川が中心となって沖縄を拠点に運営しています。

開業地として沖縄を選ばれた理由は?

やはり一番はアジア諸国や日本本土へのアクセスがいいということ。日本各地からの生鮮食品を海外に輸出する企業として、沖縄はアジア諸国・日本国内ともに2〜3時間ほどで各地に飛べるので便利ですね。さらに4〜5時間もあればシンガポール圏内まで行けますし、日本国内ならほとんど網羅できます。また、沖縄県自体が那覇空港国際物流ハブを活用した物流拠点の形成に力を入れており、インフラが整いつつあるという点も魅力でした。

現在の主な事業内容を教えてください。

基本的には食品の輸出業、あとは加工・販売業をやっています。なかでも海外では和牛の需要が高いので、チルドと冷凍のブロック肉の輸出をメインに行っています。現在のおもな輸出先は香港・中国・台湾・シンガポール・タイ・アメリカ・カナダ。例えばシンガポールや香港などは、指定された屠畜場で処理され、衛生基準をクリアした和牛でないと輸入が許可されないので、弊社では伊藤ハムと契約し、沖縄から一番近い鹿児島の屠畜場で処理した宮崎牛をメインに輸出しています。沖縄県産の牛も一部、取り扱っています。

開業までの期間は? また、その間の業務の流れは?

開業までは半年くらいで、準備期間はそんなにかかりませんでした。もともと顧客はいたので、沖縄の関係機関との実務上の調整などが準備段階でのおもな業務でした。ただ、開業前から現在もそうなのですが、弊社では沖縄の商材、例えばお豆腐や納豆といった日販品の輸出も行っておりまして、その仕入れ先の開拓には苦労しています。

日販品を含めるとかなりの食品数を扱うことになると思いますが、その利点は?

和牛を運ぶコンテナは容量が大きいので、どうしても空きスペースが出ます。そこで和牛に付随させて日販品を運べば、手間とコストを抑えつつ日本発の新鮮な食材を海外に送ることができるわけです。特に輸出先の国々で暮らす日本人には、こうした日本の食材がとても喜ばれており、店頭に並ぶとすぐに売り切れるような状況。我々は今後も扱いを増やしていきたいと考えています。

そこで沖縄県内の食品製造業者などに「海外へマーケットを広げませんか」というお話を持っていくのですが、生産量を増やすのはいいが、取引がなくなった場合にどうするかなど、企業ごとにさまざまな懸念があり、根気よくお話を進めていく必要があります。一方で輸出先のバイヤーさんや販売店からは、もっと量を増やしてくれないかという要望があり、その狭間で努力を続けているところです。

沖縄を拠点に事業展開するうえで、逆にデメリットはありますか?

弊社で扱っている食品の7〜8割は本土からのものですが、やはり本土―沖縄間の物流コストが一番のネックになっています。そうなると、沖縄を経由させる利点を生み出す必要が出てくる。そこで弊社では現在うるま市に工場を建設し、工場で一次加工した食材を香港やシンガポールなどに輸出する計画を進めています。加工品を海外に持っていく場合、いろいろな制限があるのですが、シンガポールとはここ一年ほど加工品の輸入緩和の交渉を重ねているところです。

うるま市の工場ではどのような事業を展開して行くのか、具体的に教えていただけますか。

現在、日本産の牛肉やマグロなどを輸出していますが、ブロックで出荷するとどうしても余る部位が出てきます。現地では調理や加工の仕方がわからないこれらの部位を、例えばハンバーグやネギトロなどに加工し、瞬間冷凍して輸出する。現地の日本料理店などで少し手を加えるだけで、簡単に提供できる商材を作るわけです。アジア圏では日本食がだいぶ浸透してきているので、こうした商材は重宝されており、それなりの需要があると見込んでいます。

うるま市での展開以外に、今後取り組んで行きたいことがありますか?

具体的なところでいうと、海外での事業展開にはすでに取り組んでおりまして、「シンガポール高島屋」に店舗を出しました。現在、「バンコク高島屋」での出店にも着手しているところです。また、私どもは日本全国から沖縄に生鮮食品を集めて、それを諸外国に出荷している企業ですので、沖縄県内にそれらを売る場所を作りたいと考えています。

沖縄には海外・国内含めてインバウンドがかなりきていますから、例えば観光客が集まる国際通りなどに全国の旬の食材が食べられる施設をオープンできればと思います。取り扱う物量を増やすことで輸送コストが抑えられるというのも利点。県内での多角的な展開で、より安価な価格で商品を提供することが可能になるのではないかと考えています。

海外での日本食事情に詳しい企業として、注目している沖縄食材はありますか?

沖縄の近海マグロなどはすでに東京でも取り合うような状況になっているのですが、マグロ以外にも鮮魚は今後伸びるとみています。高級な中華料理店などでは、沖縄の魚を使うことが多いので、地元・沖縄の企業ならいい食材を揃えやすいというメリットがありますね。沖縄の魚は淡白なので、調理がしやすい。我々は機内食業者とも取引がありまして、機内食用の魚の需要も見込めるので、うるま市の工場で今後は加工品などを展開して行く予定です。

最後に沖縄で事業展開を考えている企業に向けて、なにかアドバイスをお願いします。

まず県内の食に関していえば、沖縄は飲食店の数がものすごいですよね。味のレベルもどんどん上がってきています。また、アジアとの立地関係で考えても、今、香港やバンコクなど、海外から沖縄に入ってくる航空会社は二階建てのスーパージャンボを飛ばしています。それが満席なんですよ。つまりそれくらい海外の目は沖縄に注がれている。そのほかにもあらゆる面で沖縄の持つポテンシャルの高さを感じています。

沖縄で事業展開をするうえでは、この土地、この文化なりの課題にも直面しますが、弊社では案件ごとに沖縄県や沖縄県産業振興公社などに相談に乗ってもらっています。こうした関係機関と現場での課題を共有し、今後の改善策の構築やノウハウの蓄積につなげることで、ひいては沖縄県の発展やアジア諸国全体の成長に貢献することができればと思っています。

企業データ

会社名 瑞富株式会社
本社所在地 沖縄県那覇市久茂地2-22-12 久茂地UFビル7F
TEL 098-860-1527
設立 2017年5月8日
代表 市川 哲
従業員数 8名
事業内容 食品の製造・販売・輸出入
WEB・SNS 【WEBサイト】
https://www.mizutomi.jp/

Webでお問い合わせ

お電話でお問い合わせ

098-894-6288

平日 9:00〜17:00(土日祝日は除く)