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Congteakafe Okinawa株式会社

香港出身の張 呈佳 (Michael Cheung)さんは、これまで25年以上、香港のフードインダストリーに籍をおいてきた飲食店経営のベテランです。2015年に香港島にオープンした「Congteakafe」は、香港の伝統を取り入れた西洋風のメニューやおしゃれなインテリアなどが話題を呼び、一躍人気ショップの仲間入り。2020年11月には新たに3店舗目をオープンする予定だといいます。

そんな張さんがさらなる事業拡大を図るうえで選んだ新天地は沖縄。2018年10月に「Congteakafe Okinawa株式会社」を設立した張さんに、日本で起業するまでの経緯や苦労、現在のビジネス展開や沖縄での暮らしなどについてお話を伺いました。(2020年9月)

ミックスカルチャーの中で独自の食文化を育んできた沖縄は、飲食業界が長い私にとっては第2の故郷。この地から地元沖縄や日本本土の顧客にとってもメリットがあるビジネスモデルを生み出し、かつ日本の人達に香港の伝統なども伝えていきたい。

香港の「Congteakafe」はどのようなお店なのですか

Congteakefeのこだわりは、質の高いメニューをリーズナブルに提供すること。現在、香港で観光客や富裕層が多いエリアに2店舗を構えていますが、料金は地元香港の人が外食する際の一般的な価格帯に抑えています。フェアトレードのベンダーや地元の市場などから良心的な価格で質のよい食材を仕入れることで、お客さまに満足いただけるサービスを提供できるよう心がけています。

もう一つのこだわりは、時代に即した新しいものを常に取り入れながら、その中に香港の伝統的な食や文化を残して行くこと。たとえば香港で長年親しまれてきたパイナップルパンやスープなどを、バーガーやエッグベネディクトといったウェスタンスタイルのセットメニューに取り入れたり、伝統的な器でラテを提供したりしています。

香港はさまざまなカルチャーがミックスしている場所なので、幅広い客層の方が自分の好きな一品に出会えるような店にしたいと思っています。

 

香港で3店舗目をオープンするそうですが、沖縄でもビジネス展開を図っている理由は?

香港は今、政情が不安定なこともあり、私は将来を見すえてCongteakafeの海外展開を考えるようになりました。そこで中国・台湾・日本を視野に入れ、1年ほどかけてマーケットをリサーチしたのです。

当初は言語的な理由から台湾での展開に的を絞り情報収集していたのですが、たまたま旅行で沖縄を訪れた時、突然「ああ、沖縄だ!」とひらめきました。

さまざまな外国文化が混ざり合っていたり、独特の食のスタイルがあったり、沖縄は日本本土とは少し違っていました。タコライスに代表されるように、沖縄のひとが外から入ってきたものを寛容に受け入れて、自分たちのものに変えて行くところに香港との共通点を感じました。

文化や気候、沖縄のひとの人柄や暮らし方、歴史的背景なども似ているし、沖縄には英語が喋れるひとも多いです。私の会社が海外展開するとすれば、沖縄にこそ黄金に輝くチャンスがあると思いましたね。

起業を決めてから現在までの経緯を教えてください。

香港に戻り、まずは沖縄県の香港事務所に沖縄でビジネスを始めるにはどうしたらいいかと相談しました。事業計画書を提出したら、沖縄県産業振興公社につないでいただので、すぐに飛行機で沖縄へ向かいました。

創業へのビジョンはあったので、かなり具体的な質問を20〜30ほど用意して面談に臨みました。初回のミーティングから、飲食店開業や在留資格にくわしい行政書士にも同席いただき、おかげで起業から経営・管理ビザの取得、移住まで、1年ほどで準備が整いました。

沖縄への移住の際にも、沖縄県産業振興公社には娘の学校や私の日本語学校に関する情報をはじめ、暮らしの面でもさまざまなサポートをいただきました。さらに起業から今に到るまで、不動産会社や保証会社の紹介、沖縄県内の企業とのマッチングなど、多角的にサポートしてもらっています。

沖縄に進出するうえで大変だったことや進出後のご苦労などは?

実は私は学校を卒業してしばらく、香港の日系銀行に務めていたので、日本の仕事の仕方や文化に親しんでいました。ですから、日本でビジネスを始めることにあまり抵抗はなかったのですが、実際にきて感じるのは、言葉の壁と外国人が信用を得ることの難しさですね。特にカフェをオープンするための物件探しに苦労しています。

日本には長く続く関係性に重きをおく文化があるので、不動産業者も長期間の入居を好む傾向にあります。この点はより高額な家賃を支払う入居者を好む香港人との違いですが、国が違えばビジネスに対する考え方が違うのは当然のこと。生活を楽しみながらチャンスを待っているところです。

現在はどのような事業を行なっているのですか?

当初の事業計画ではカフェをオープンするにあたって、沖縄と香港双方のスタッフを派遣してトレーニングを行う予定でした。それが新型コロナウィルスの影響で頓挫してしまいました。そんなとき、幸いにも沖縄で台湾料理を提供しているレストランオーナーと知り合う機会に恵まれました。

そこで、商品作りに協力してくれないかと相談しました。彼らは冷凍設備を持っていたので、私から冷凍食品作りのノウハウを提供し、彼らにはその販路を開拓してもらう。こうして現在は、弊社オリジナルの商品を沖縄県内の大手小売店13店舗で展開しています。

メニューはパイコーチャーハンやスイートソースで味付けした手羽先など全部で4種類。どれも香港ではポピュラーな料理です。パートナー企業のアドバイスを受けて「香港正宗(本場香港の味)」というのを売りにしています。私には地域のひとやコミュニティと一緒にビジネスを発展させていきたいという思いがあるので、沖縄のプロダクトには沖縄県産の食材を積極的に取り入れています。

その他に具体的に動いている事業はありますか?

キッチンカーを手に入れることができたので、香港スタイルのミルクティーの移動販売の計画を進めています。これが私の店の日本1号店になります。提供するミルクティーは沖縄や日本の食材で作ろうと考えていて、県内企業から仕入れた茶葉を独自にブレンドします。ミルクは北海道産の無糖練乳を見つけることができ、これなら香港の味を100%再現できると自信がつきました。

ミルクティーはもともとイギリスから入ってきたのですが、香港スタイルミルクティーはそれをまねつつ、よりよい進化を遂げた飲み物だと自負しています。香港ではとてもポピュラーな飲み物なので、香港人のスピリッツとともにその良さを沖縄のひとに伝えていきたいです。

弊社のロゴが入ったオリジナルのカップも作りました。今後はフードカーをもっと増やしてチームを作りたいですね。そして、ゆくゆくは沖縄で焙煎されたコーヒーを使ったドリンクも提供できればと思っています。

それから冷凍食品の展開がもうひとつあって、大阪のベンダーと組んで、日本本土向けに弊社の商品を販売する計画が進んでいます。沖縄から大阪へ一気に送れば送料が安くすみます。さらに、顧客への発送を大阪の企業が行えば、お客さまの送料負担も少なくなり、一石二鳥です。

実は大阪の企業は、もともとはレンタカー事業を行なっていたのですが、新型コロナウィルスの影響で物販事業にシフトしました。彼らはすでに顧客をたくさん持っているので、我々のタッグがうまくいけば、沖縄の飲食店にとってもひとつのビジネスモデルになりうると考えています。沖縄の食は全国的にも知名度がありますし、卸業者がいれば競争力のある製品となるはずです。沖縄の飲食事業者が本土のマーケットに展開する成功事例の一つになるといいと思います。

沖縄で暮らしてもうすぐ2年になりますが、沖縄での暮らしはいかがですか。

香港・沖縄・日本を比較すると、やはり沖縄はベストだと思います。収入はあまり変わりませんが、沖縄は日本本土よりリビングコストが安いし、きれいな家に住めるし、ご近所さんもいいひとが多い。そして何より安全でリラックスして暮らせるので、私自身や娘たちの心境にも変化がみられます。

私の娘たちは、北谷町の小学校に通っているのですが、言語サポートがあるおかげでいち早く日本語が喋れるようになりました。上の娘はコロナ禍の前は日本人の友だちとカラオケに行ったりしていましたし、下の娘も学校に歩いて通えますからね。

こうした光景は日本では当たり前のことかもしれませんが、香港では子どもをひとりで外に出すなんてもってのほか。沖縄でビジネスする機会を得ることができたのは、私だけでなく、私の家族の未来にとってもいいことだと思っています。沖縄は私たちにとって第2の故郷。この地で暮らせることに感謝し、沖縄でのビジネスをしっかりと軌道にのせ、さらに発展させていきたいと考えています。

最後に沖縄展開を考えている企業に向けて、なにかアドバイスをお願いします。

香港にいるときからそうですが、私個人は、ただ便利だからとか、合理的だからという理由で、外のビジネスモデルをそのままその土地に適用させるという考え方は少し違うと思っています。大切なことは地域のマーケットや企業やひとと、どう共働できるか。そのためには、その地域ごとの文化や習慣、人びとの考え方を理解するためのコミュニケーションが大事ですよね。

自分の国や会社のやり方と、日本や沖縄のそれを比べて、違いを嘆いても仕方がないことです。外から入ってきたのなら、自分のビジネスのやり方をその場で通用するように変え、さらには、どうすればよりよくなるかを考えるほうがいいはずです。

そのためにも、正しい情報を得るのは大切なこと。ビジネスはどれもケースバイケースなので、仲間などから聞く情報だけに頼らず、沖縄県産業振興公社などを通して適切な情報を得ることをおすすめします。

企業データ

会社名 Congteakafe Okinawa株式会社
本社所在地 沖縄県北谷町美浜
TEL 070-3802-9240
設立 2018年10月
代表 張 呈佳 (Michael Cheung)
従業員数 1名
事業内容  香港風の冷凍弁当や冷凍食品の製造・販売、キッチンカーでの香港スタイルの軽食&ドリンク販売準備中
WEB・SNS 【Facebook】https://www.facebook.com/congteakafeokinawa
【Instagram】https://www.instagram.com/congteakafe_okinawa/

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